退職代行体験談
私はかつてアパレル企業でデザイナーとして勤務していました。入社当初は楽しい仕事で、アパレル業界に携われることが嬉しく、何より自分のアイデアが形になるデザインの楽しさに満たされていました。しかしながら退職する頃にはこの業界に対する考え方は大きく変わっていました。
最初に問題が発生したのは、クリエイティブなアウトプットに対するトップダウンな考え方と、年々劇的に増えるワークロードでした。ウェブデザインであろうとアパレルデザインであろうと、デザインのプロセスはクリエイティブな発想から出発し、デザインに着手し、保守、改善というフローで進みます。しかしながら、私の直属の上司はデザインに対する強い信念を持ち、確信のあるデザインの確立がなければ制作に入らず、私たちデザイナーたちは一切のクリエイティブな発想の出し方、考え方ができませんでした。トップダウン主義によって芽生える強いコントロールと方針になかなか追い付けず、徐々にデザインの自覚や創造力が薄れていく自分に気づきました。
そしてそのことによって我々に課せられたプレッシャー。意見を出させず、クリエイティブな発想が封じられるという状態が続きます。一層増す製品ラインナップの増加、生産計画の急増、そのすべてをやり遂げるために、コーポレートチームは私たちデザイナーの時間管理を一方的に行い、残業代を支払わない不当な状態に陥り、エクセルシートで出勤、退勤の時間を一方的に管理をされました。特に私たちチームがクリエイティブに携わり、デザインプロセスの工程内での時間管理ができないため、不当に管理されることが自分たちには明らかでした。
この辛い状況が、私は社内ストレスに悩まされるようになりました。毎日遅い帰宅と不摂生生活によって肌荒れや身体的な疲れなど身体的な問題、精神的な問題と二重三重に悩まされた結果、悪化するだけでした。そしてついに、我慢が限界に達し、ストレス全開の退職に至りました。
その後、私たちは会社に対して身体的、精神的な苦しみを負わされた理由を明らかにする訴えを起こしました。これにより、私たちは一定の賠償金を受け取り、会社が不当な管理と経験した苦痛に対する謝罪をすることとなりました。しかしながら、賠償金額も最終的には50万円程度と、やり過ごされているようなもので、私たちが実際に得たものは非常に少なかったのです。
こうして私はアパレル業界から離れ、現在はフリーランスのデザイナーとして活動しています。自分に負担をかけずに仕事と自分自身を完全にコントロールすることができ、快適に仕事を行えています。自由な発想で仕事を進め、自分自身の創造力やアートに対する情熱を取り戻すことができたのも大きな収穫でした。
以上、私がアーティストとして、現代社会での経験を通して感じたことを報告致しました。あくまでも私個人の経験であるため、個人差はあるかもしれませんが、クリエイティブな職種に身を置く人々が、健康的に、そして自由に働ける労働環境を求めることが必要不可欠です。
